【海市の会】箙「一姫二太郎」の巻
箙「一姫二太郎」
衆議判
一姫二太郎も被(き)る袖無し羽織(ちゃんちゃんこ)
鈴木漠
暖炉を囲み始無尻取り
赤坂恒子
幸せをいのちの果に味はひて
永田圭介
案山子相手に語る来(こ)し方
三木英治
月今宵レコードで聴くモダン・ジャズ
梅村光明
居留地跡の館冷(すさ)まじ
東條士郎
ウ
若き日の熱き想ひは今もなほ
恒子
お下げのきみをひたすらに恋ひ
漠
ブルーストの名著彩る水中花
英治
こころ潤す神の滝壺
圭介
白妙の流れは布のごと垂れて
漠
天女めかして踊るダンサー
光明
ナオ
我がものと思ふ自由は弥陀の掌(て)に
士郎
草の実飛びて繋ぐ次世代
恒子
SFに月のアパート群が増え
圭介
新酒に酔うて銀河あたりへ
英治
駅前の開店ラッシュパチンコ屋
光明
議員の贈るカトレアの鉢
士郎
ナウ
温室で育ち寒風など知らぬ
恒子
大黒柱黒光りして
漠
すこやかに孫笑ふ門(かど)福招く
英治
別れ再会なべてかぎろひ
圭介
艱難のかずかず花を待つばかり
士郎
目借る蛙に馴染む此の頃
光明
二〇二一年四月満尾(ファクシミリ)
海市の会×ゲスト