イレギュラー連句 中山奈々
ちょっと信用してもらわれへんと思うねんけど、初めて対面でやった連句が「和漢聯句」(*1)やねん。連句は長句(五七五)と短句(七七)を交互に付け合うんやけど、そのときに漢句(漢字五文字)を織り交ぜていく。もう六、七年前のことやから曖昧やけど、漢句はただの五文字の漢字の羅列やなくて、レ点で返るようなほんまに漢詩いうか漢文いうんかそんな仕組みのものやった。
それまで連句は、ネットで三島ゆかりさんや佐山哲郎さん(掲示板内、なむさん)のそれぞれの掲示板で優しく叱られながらやったことはあった。そんなときに小池正博さんに、連句に興味あるのでしたらと誘われたのが前述の会という訳。
いやもうそら、びっくりした。説明はしてくれはったんやけど、スタンダードの連句もあやふややのにそんなイレギュラーな! 例えば、ネット句会しか出たことがなかったニンゲンがリアル句会に参加したら、自由律俳句を出さなあかんかったというぐらいの衝撃なん。だけど、聞いたらその日の参加者の大半が「和漢聯句」は初めてやという。ほんまか。助かった。と思ったけど、そこはみんな連句には慣れている訳で、長句短句出すんは早い。ものすごい早い。その日わたしので取られたんは、長句か短句かどっちか一句だった。いやもしかしたら取られてすらいなかったかもしれん。
それから「和漢聯句」とは一度も出合うことはなかった。ただ、イレギュラーの連句を知ったことで、スタンダードが愛しく思えた。ありがとう。普通でいてくれて。感謝。月の座、花の座、恋の座とう目立ちどころはできるだけ回ってきて欲しくないし、はやくウラになれ! と願ってはおるけれど。
それがこの間、またイレギュラー連句に出合った。「ソネット連句」(*2)。句数としては十四句の連なりなのだが、韻を踏まんとあかん。抱擁韻、平坦韻、交叉韻と種類があって、それによってどこの韻を踏まえるか変わってくる。先のがアジアの融合なら、こちらは西洋との融合。韻探しが面白くて、夢中になった。スタンダードな連句に比べて、ゲーム性が強い。いいな。イレギュラー。イレギュラーであってくれてありがとう。連句は奥深いなと「和漢聯句」のときは全く違う思いでいた。それはわたしが連句に慣れてきたからかもしれん。まだ連句について自信はないけれど、いまなら「和漢聯句」をやっても楽しめるんやないやろか。と言ったところで、だれがやってくれるんやろう。誰かしませんか。
中山奈々
1986年生まれ。生まれてより大阪在住。高校二年生時、俳句甲子園をきっかけに作句開始。特に驚くような賞はなく、句集もなし。「百鳥」同人、「淡竹」「奎」所属。「川柳スパイラル」会員、「川柳北田辺」幽霊参加。
口呼吸の癖が治らず、口が半開き。そのためそこから「真面目」さが常に漏れているような気がする。