AI芭蕉さん 石川聡
どうやったら連句が上達する?と考えていたら、連句のRPG的な独習アプリがあればよいのではないかと思いついた。
AIの捌き役が登場するのだ。三十六歌仙のコースを選び、そこに発句を打ち込む。すると、連句向きの立て発句か、それとも独立した一句鑑賞に向く地発句(=俳句)かを判断してくれる。もし、俳句として文句なしの句を打ち込めたとしても、脇句をつけにくい句にはもっとこうしなさいと返されるのである。季語は独習した日付を基準にして合っているか判断される。もし、当節以外の季語で始めたい場合は、季のモードを選べる。
次に脇句である。脇五体の練習ができる。相対付(あいたいづけ)、打添付(うちそいづけ)、違付(ちがいづけ)、心付(こころづけ)、比どまり(ころどまり)の付け方がマスターできる。まず、適当に脇句をつけると、それが脇五体の内どれに相当するものか教えてくれる。他、各付け方のモードも指定可。打添付の練習をしようと思えば指定できる。つけてみて打添付になっていなければやり直しの指示。そんな調子で心付、打添付のモードは念入りに独習が出来るよう設定されている。
次にいよいよ第三句である。第三句の内容が打越し(前々句)の内容に戻ってしまっている場合は容赦なくやり直しのアドバイスが出される。きちんと転じた句になった時点でオッケーがでる。打越の概念が理解できるようにプログラムされているのだ。モードには主観と客観モード(発句が主観の句であれば、第三は客観の句、あるいは叙景の句をつけるようにアドバイスが来る)や、北支『山中問答』由来の自他場方式(人あるいは人情の入った句のうち、自分のことを詠んだ場合は自、他人を詠んだ場合は他、人情人事の入らない句を場とする)のモードで練習もできる。と言う調子でAI捌き人が鍛えてくれるのだ。連句は特に捌きの判断を自分でしにくいため独習では上達を感じにくい気がする。
連句に興味はあるがリアル連句への参加の敷居が高いと感じる初心者もいるだろう。ある程度の独習が出来る環境があれば、リアル連句会にも出やすくなるし連句人工も広がる気がするなぁ。などと妄想していたら通勤で降りる駅についた。敷居が高いというのは実は自分なのだった。さて地道にいこうか(笑。
※参考文献:『連句読本』井本農一・今泉準一、連句誌「みしみし」三島ゆかり
◯石川聡
1998年自由律俳句結社「海紅」入会。自由律俳句会「サザンカネット句会」を共同主催。自由律俳句協会会員(団体)。2018年現代川柳誌「川柳スパイラル」入会。