東京と大阪のふたりによる往復書簡

vol.1 2021.02.03 高松霞

「連句は難しいと思われがちですが、そんなことはないんです」と言う人がいます。嘘だあ、と思っています。連句って難しいですよね。

何が難しいかって、正解が決まっていないんです。降り注ぐように並んだ短冊は、誰も彼もが「私が正解です」という顔をしてピカピカ光っているじゃない? 決定木の構造をした連なりを選び取り、挙句まで句を出し続ける体力は、やっぱり一朝一夕には得られないと思うんです。順番通りに廻らない春夏秋冬、厳かに現れる月と花、必ず終わってしまう恋。何時間もかけて唸って笑って争って連ねていくそれを「難しくない」なんて言いたくない。連句は難しいです。じゃあどうして私たちが連句を巻くのかって、とびきり光る短冊を見せられたときの興奮や、自分が光りを生み出せたときの嬉しさや、世界を巻き上げた捌きと連衆の、美しい余韻を感じるためでしょう。

そんな気持ちで「連句新聞」を立ち上げました。若手連句人の高松霞と門野優が、諸先輩方のご協力をいただき、形にすることができました。連句をやったことがある方も、これからやるという方も、「連句新聞」を通して、これからの連句に触れていただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。