【子燕連句会】 歌仙「冬柏」の巻
○子燕連句会
橋閒石が始めた白燕(びゃくえん)連句会。彼の死後も活動を続けていたのだが、白燕俳句会と共に刊行していた俳誌『白燕』が平成21年に廃刊となった。
それを機に赤松勝が「子燕(しえん)連句会」を提唱し、平成22年に発会。
最初は神戸市垂水区で、その後、同市東灘区、尼崎市へと会場を変更し、現在に至る。
新規会員、見学、共に歓迎。
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歌仙「冬柏」の巻
冬柏葉守の神の閑話かな
前田清子
ふうわり被る吉兆の雪
赤松 勝
相応しき絵筆求めて通うらん
高原烏白
車窓流るる景色さまざま
子
月待ちの重き瞼をしばたきて
勝
なぜか親しき溢れ蚊の声
白
お役目をいま暫くと菊人形
子
寺の小僧がつと立ち止まる
勝
禁断の契り破りて漕ぎ出だす
白
恋の旅路の夢は果てなし
子
轟音の突如鳴りたる交響曲
勝
戊辰の役の砲台の跡
白
昼の月土塁に蝮塒巻く
子
ラムネの栓がなかなか開かぬ
勝
言いかけた要らぬ一言呑み下し
白
ワープしたのかここはロンドン
子
花のもと人は去りぬる猫来たる
勝
ほの明るきは春霖の丘
白
海峡に小女子漁の舟満てり
子
あれほど駄目と言ったのに密
勝
アマビエの旋毛曲げたかヌラリヒョン
白
拗ねてみるのも女の手管
子
極上のヴィトンのバッグ買わされて
勝
はらりと解ける風呂敷の妙
白
鮮やかな手妻銘酒を呼び出せり
子
〆は松茸飯と虫の音
勝
月落ちて寝首をかきに奴が来る
白
霞網など張り巡らさん
子
携帯の圏外に居る開放感
勝
富士の頂雲ひとつ無し
白
千両箱積んでも買えぬこの自然
子
宮大工なら釘は使わぬ
勝
三匹の豚は煉瓦の家に住み
白
黒真珠より好きは草餅
子
とりどりのレジャーシートで花の午後
白
ボートレースに歓声ひびく
勝
令和三年一月十二日 首
令和三年二月十三日 尾
於 文音