【大阪連句懇話会】 半歌仙「花冷や」の巻   

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半歌仙「花冷や」の巻

  捌 小池正博

  花冷やメモ箱からは物語    

  小池 正博

   猫のよこぎる闇に東帝   

   角谷美恵子

  春雷は寝床の中で遠く聴く   

  蒲生 智子

   念押しをする父の伝言   

   松本奈里子

  池の月乱す指先「の」と書いて   

  美恵子

   川のほとりに芒ゆらゆら  

   平良 孝子

ウ 昼下がり秋津相手の酒もよし    

  奈里子

   仮想通貨はどこへ行くやら    

   孝子

  願掛けて惣領息子北へ北へ     

  美恵子

   ふたりの影が溶けてひとつに   

   孝子

  百年の恋が醒めれば不燃物     

  奈里子

   炬燵はさんで囲碁の戦い     

   智子

  音もなく火の見櫓を照らす月     

  孝子

   国境には雑草茂り       

   美恵子

  特選に吾句をとらず兜太逝く    

  美恵子

   憎しみ連鎖泣くは民衆      

   孝子

  葉の裏に赤を隠して椿なり      

  正博

   初虹まるめ持ち帰る町     

   奈里子

 二〇一八年四月七日 首尾

 於 たかつガーデン