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自由律非懐紙「鬼の捨て子」
鬼の捨て子梵字は水の手ざわり
狩野 康子
眠り流しは過ぎた
永渕丹
抑揚をつけ歩く休みの日まで
康子
象に笛吹く少年
丹
座っぷちの木々は腹式呼吸
康子
高圧線を自信たっぷり
丹
寒月を抱えたまま鍵穴に分け入る
康子
天鈿女命(あまのうずめのみこと)舞う
丹
秀でし眉と杏仁形の目の新妻
丹
死海の泥でパック
康子
地霊の磁力を足裏に悲劇朗読
丹
卒寿は無印良品
康子
夏ひばり鳴くB29の来たかの朝も
丹
夾竹桃の紅だけが
康子
義足のジャンパー玉の汗かぐわし
丹
雲を払って手紙が届く
康子
深見下ろす黒森歌舞伎今たけなわ
丹
花種を蒔こうよ未来へ
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