【稲門連句会】歌仙「青嵐」の巻

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歌仙「青嵐」の巻 

   青嵐胸のすきまを埋めるもの    

   哲子

    ゆりの香の弥増さる午後    

    雀羅

   空缶をけとばす子らのちりぢりに  

   東砂

    両の掌で食む栗鼠のせはしく  

    菜帆

   円窓に弓張月の昇り来て      

   一有

    飲み頃となる母のかりん酒  

    ちかひ

ウ  紅葉のスカイラインをなぞる旅   

   明郎

    貢ぐよろこび癖になりそう  

    金糸雀

   写真には写っていない泣き黒子    

   羅

    手をふりながら雑踏に消え    

    砂

   うやうやし永田町なる伏魔殿     

   有

    電子タバコは許されている    

    ひ

   ラグビーで鳴らして今は事件記者   

   帆

    凍月高く犬の遠吠え       

    郎

   バス停の土耳古美人はしゃれピアス  

   哲

    懐中深くボルジアの毒      

    郎

   寄りかかる花の大樹に見ゆる虚    

   羅

    海峡渡るてふてふはこれ     

    有

ナオ 軍艦島の記憶掻き立て雲雀東風    

   帆

    WTOに揺れる日韓       

    ひ

   こぶ取れたらちい真昼の深ねむり   

   郎

    夢の中なる恋のかけひき     

    哲

   ぽつぽつと雨の降り込む渡し舟    

   羅

    六文銭の持ち合せなく      

    有

   起きよとて亡母の声あり明易し    

   砂

    朝のカラオケ予約いっぱい    

    糸

   ひる飯を三百円で済ます日々     

   哲

    うき世忘れてみがく隕石     

    ひ

   ゴルディアスの結び目照らす月の剣  

   帆

    脳細胞のしわ伸びる秋      

    羅

ナウ やや寒の絹漉豆腐そのままに     

   哲

    障子をあけて外に出る猫     

    有

   行き止り多きお屋敷町に住み     

   帆

    けふもけふとて老いの寸劇    

    哲

   花筏夜の川へと流れゆく       

   砂

    蛙のうたに送らるる駅      

    羅