【宮城県連句協会】非懐紙「万緑へ」の巻

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非懐紙「万緑へ」の巻

 万緑へ川の背骨の立ち上る 

 狩野康子

  底からぎょろり鮴のめん玉

  永渕丹

 趣味人か文学者とで色を付け

 二上貴夫

  幼児につられドミノ倒しに 

  康子

 型崩れしたる原発遠く見て    

 丹

  畳めば広し冬の山畑    

  貴夫

 宇宙から戻り熱燗所望する   

 康子

  今日から君と同じ歯磨    

  丹

 なんとなく唇が好き声が好き  

 貴夫

  羽化したばかり艶やかな羽根

  康子

 知覧からこれが最後の手紙です  

 丹

  暁闇に阿弥陀仏抱く    

  貴夫

 一卵性双子のひとり炭鉱夫   

 康子

  丸洗ひきくえぐい魂     

  丹

 春なれど卒業なんかしない河馬 

 貴夫

  乱数表に八重桜咲き    

  康子

 和の風味フランス料理に忍ばせて 

 丹

  誰も描かない聞酒列伝   

  貴夫

  平成二十九年五月二十六日 起首

  平成二十九年七月十四日 満尾