【徳島県連句協会】非懐紙「いやいやをして」の巻

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非懐紙「いやいやをして」の巻 しりとり押韻

 いやいやをして剥がさるるキャベツかな 

 東條士郎

  金切り声で毛虫撃退         

  乾久惠

 対向車中央線を越えてくる       

 西條裕子

  苦し紛れに嘘の言ひわけ      

  関真由子

 分け与ふるねずみ小僧に月優し       

 久惠

  さしも知らじな旨い新蕎麦       

  士郎

 欹(そばだ)つる耳に微かな茶立虫    

 真由子

  寧ろ死にたき冤罪の果て        

  裕子

 破天荒とは思へども恋故に         

 士郎

  絵にも描けない瞳(め)の蠱惑的    

  久惠

 テキサスのレディの肌浅黒く        

 裕子

  ろくでなしには口を利かない     

  真由子

 内外の事情あれこれお国柄         

 久惠

  硝子に白き息を吹きかけ        

  士郎

 欠け月に海豚の群れはジャンプして    

 真由子

  シティボーイのシャツのデザイン    

  裕子

 因襲の強き里とて捨て難く         

 士郎

  蓄ふる慈悲の湧き水のごと       

  久惠

 御灯(ごとう)あぐる仏に花のこぼれ咲き  

 裕子

  幸(さき)く東風の誘ふ奥祖谷(いや) 

  執筆

  令和三年五月十六日 起首

  令和三年六月四日 満尾

  於 徳島県立文学書道館&文音

  ※しりとり押韻は挙句から発句へ循環回帰