【徳島県連句協会】 半歌仙「木の葉果つ」の巻

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半歌仙「木の葉果つ」の巻

木の葉果つふつと泣き止む児のやうに  

東條 士郎(冬)

 藁打つ祖父の深き手の皺      

 佐藤 清幸(冬)

のみの市愛猫の服選びゐて        

竹内 菊(雑)

 エスカレーター長々とゆく        

 士郎(雑)

稜線の月と並走汽車の旅           

清幸(月)

 居眠る少女膝に草の穂           

 菊(秋)

憧るる時代祭の輿の上を           

士郎(秋)

 デート約束反故にされたる        

 清幸(恋)

準備したケーキのリボン切り刻み        

菊(恋)

 防衛費とていつか倍増          

 士郎(雑)

年寄りの多く子どもの減る未来        

清幸(雑)

 カンカン帽でひと踊りせん         

 菊(夏)

月涼しムーランルージュ撥ねるころ     

士郎(夏月)

 溢るるばかり酒舗の枡酒         

 清幸(雑)

塩舐めて赤鬼のごと吠えてみる         

菊(雑)

 寝釈迦に集ふ哀しみのなか        

 士郎(春)

花咲けば憂きことのなき世は開け        

菊(花)

 雲雀の声の降りしきる里         

 清幸(春)

  令和五年十二月十七日 首尾
  於 渭東コミュニティセンター