【わかくさ連句会】 二十韻「脈脈と」の巻

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二十韻「脈脈と」の巻

   捌 角谷美恵子

脈脈と楽家の土や白き息    

角谷美恵子

 大綿虫ののぞく工房    

 松本奈里子

AIのひと筆書きの鮮やかに  

林  典子

 舞台看板高く掲げる    

 米倉 洋子

月の舟ゆらりと傾ぎ影朧    

もりともこ

 新入生を誘ふ落研         

 美

軽やかに愛をふりまくスイトピー    

 遊覧馬車は鈴を鳴らして      

 典

せせらぎを従へ杣の散歩径       

 お地蔵様は辻にひつそり      

 と

カブールの陥落くゆる蚊遣りの火    

 百物語孫は泣き出し        

 里

相棒の聴導犬は足元へ         

 恋の道連れ古酒を酌みあふ     

 洋

艶やかに揺れて天女の帰る月      

 棋譜のあらまし長き夜を過ぐ    

 と

勲章は桐の小箱に納められ       

 医学の父を新紙幣にて       

 典

長堤の彼方にけぶる花万朶       

 目借る蛙にうつらうつらと     

 と

  令和三年十一月十三日 首
  令和三年十一月十九日 尾
  於 奈良市はぐくみセンター・文音