【徳島県連句協会】 歌仙「むかしを今に」の巻
歌仙「むかしを今に」の巻
繋ぐとやむかしを今に夕時雨
東條 士郎
美しき火を移し炉開
曽根 燦
誕生を祝ひし植樹大木に
佐藤 清幸
塒に帰る鳥のにぎはし
二橋 満璃
月の街ビジネスマンの急ぎ足
西條 裕子
運動会だ明日の準備を
執筆
新米のずつしり重き塩むすび
燦
誰かに似たる辻のお地蔵
士郎
ジーパンのからりと乾く晴天に
満璃
多情多恨をやり直しせむ
清幸
外しても指輪の跡の残りたる
士郎
纏はりついて離れない蠅
裕子
夏月のきらめく海に散骨す
清幸
戦下へ送る兵士集めて
燦
通りあんせ風も子供も細道を
裕子
玉砂利踏んで二礼二拍手
満璃
招福のパワースポット花盛り
燦
蒟蒻植うる暮し守れば
士郎
井戸端の薬缶甘茶のたつぷりと
満璃
床の香合値打物かも
清幸
ふるさとの良さを知らずに放浪し
士郎
たつた五席の居酒屋に酔ふ
裕子
真夜中の突貫工事舗装中
清幸
王女マントで降りるタラップ
燦
奪ひとる雪をも溶かす愛ならば
裕子
恋の成就に向かふ敵なし
満璃
セミプロと言はれパチンコ目が据はり
燦
欠伸ばつかり檻のライオン
士郎
夢と見る月の草原青々と
満璃
短歌好きなら捻る定家忌
清幸
幽玄の趣き和食の松茸に
士郎
無と一文字の遺墨清らか
裕子
用水路でつかい鯉かガバと跳ね
清幸
吾児がバッター顔おほふ母
燦
花前線あれよあれよと北上し
裕子
山彦戻る霞む峠に
満璃
令和四年十一月二十日 首
令和五年一月八日 尾
於 文学書道館&文音