【猫蓑会】歌仙「猫車」の巻
学生のときに発掘のアルバイトで押してから、猫車のことは何となく気にかかっている。最近、猫車には深型と浅型があるということを考古学関係の人から教えてもらった。また、わたしの好きな深夜番組タモリ倶楽部で猫車の特集をしたときに、「鉄板プレス加工・タイヤにラジアルボールベアリング内蔵」のネコ界のベンツと言われる製品があることも知った。
歌仙「猫車」の発句は、昨年から俳句の勉強に出かけているNPО法人羽生の杜でのもの。教会の広い庭の木陰に、刈った草を積んであったのは深ネコだった。
歌仙「猫車」の巻
鈴木 千惠子 捌
猫車休む木陰に秋の風
鈴木千惠子
昼月仰ぎ叩く溢蚊
武井 雅子
酒林新酒の出来を利くならん
坂本 孝子
七種の色で分けた地形図
宇田川 肇
ミステリーツアーのバスはひた走る
根津 忠史
むぎわら帽子忘れたの誰
菅原 通斉
ウ 聖歌隊薔薇窓の影涼しげに
孝
バナナの皮を置いていたづら
肇
許さないたつた一度と言ふけれど
孝
閻魔大王朱き舌先
斉
君となら幾山河も厭はない
史
深雪の閨に温め合ふなり
孝
崩れゆく城の虎口に冴ゆる月
肇
防犯カメラこんな所に
雅
かつ丼が届く頃だと期待して
史
百米走十秒を切れ
雅
墨水を薄くれなゐに花の雨
斉
巣立の鳥をそつと見守る
史
ナオ 遍路笠閏の年は逆廻り
同
サヌカイトにて作るマリンバ
肇
南海の貝を集めてプロポーズ
同
夢はかなくも眠る姫君
孝
山盛の氷いちごのとけてゆき
雅
竹下通り人はぞろぞろ
孝
スカウトは勘をたよりに声かけて
雅
雑種犬です俺の相方
孝
七年間官房長官務めあげ
斉
故郷の訛いまだ抜けざる
紀
月今宵提灯ゆれる馴染み宿
史
夜業のために眼鏡買ひ替へ
肇
ナウ うそ寒の嗽消毒念を入れ
孝
鷗外太宰墓処を同じく
同
勲章も肩書もなし老人会
斉
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雅
花の下ダブルダッチを駆け抜ける
千
長閑に暮れる学舎の庭
斉
令和二年 十月 五日 首尾
於 深川芭蕉記念館