【桃雅会】 歌仙「入道雲」の巻

歌仙「入道雲」の巻

　　　捌　杉山　壽子

入道雲に拳骨くらへコロナ菌　　　　　

杉山　壽子

　自粛自粛と蝉の鳴き声　　　　　　

　古賀　幹子

おかつぱを躙り口からのぞかせて　　　

宮川　尚子

　うどんがいいね少し太めの　　　　

　島田　裕子

たそがれのレトロの町に月上る　　　　

中森美保子

　畑の棚に糸瓜ぶらぶら　　　　　　

　中西　静子

阿波踊りする人形の見得を見つ　　　　

寺田　重雄

　女子学生の揺るるスカート　　　　

　波多野茂子

地下鉄に乗りあはせしが縁となり　　　

八雲　鏡湖

　目を見つめれば離れがたくて　　　

　高橋すなを

ふる里の宝となつた聡太君　　　　　　

長谷川芳子

　人工知能データ処理する　　　　　　　　　

　壽

冬の鳥写すカメラは定位置に　　　　　　　　　

幹

　氷柱と刃競ふ三日月　　　　　　　　　　　

　尚

よだれ掛け新品に代へお地蔵さん　　　　　　　

裕

　園児の歌に和してハミング　　　　　　　　

　保

枝ぶりを慈しみをり花の寺　　　　　　　　　　

静

　長閑に廻る水車参連　　　　　　　　　　　

　雄

田打ち靴泥つきしまま並ぶ　　　　　　　　　　

茂

　本場スコッチはしごする旅　　　　　　　　

　湖

きやきやとジェットコースター手放しで　　　　

を

　筆整えて般若心経　　　　　　　　　　　　

　芳

古民家の再生される夏の果て　　　　　　　　　

壽

　山椒魚棲む奥多摩の川　　　　　　　　　　

　幹

飯盒の飯くろ焦げにゼミコンパ　　　　　　　　

裕

　パパより五つ年上の彼　　　　　　　　　　

　尚

焼きもちがちらりと見えてかわいいの　　　　　

保

　ふたごの熊猫くんづほぐれつ　　　　　　　

　静

白々と有明月の残る丘　　　　　　　　　　　　

湖

　美術展向け描く力作　　　　　　　　　　　

　雄

秋深し能装束を繕ひて　　　　　　　　　　　　

を

　振り向きざまに用事忘れる　　　　　　　　

　茂

パソコンに問はれるＩＤ　パスワード　　　　　

幹

　孫の動画をばーば楽しむ　　　　　　　　　

　保

どの人もみんな友だち花の園　　　　　　　　　

尚

　若駒の食むかいばたつぷり　　　　　　　

　執筆

　　平成三年八月二十六日　首
　　十月六日　尾