【宮城県連句協会】非懐紙「春分や」の巻

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非懐紙「春分や」の巻

 春分や調律済みしピアノ音 

 小池正博

  願い通りに育ち入学   

  永渕丹

 被災地に本屋花屋と開かれて

 狩野康子

  袋の中はサービスのチョコ 

  正博

 鼻濁音話せないのが玉に瑕    

 丹

  探偵家業冬は弱気に    

  康子

 狐火を見てから君を好きになる 

 正博

  闇を率いる肌の柔らか    

  丹

 少年のガラスの胸を磨くらん  

 康子

  鳥の自由にあこがれるころ 

  正博

 灯台になって岬に立たされて   

 丹

  不眠症には月の粉末    

  康子

 三更の案山子が何か語り合う  

 正博

  尻尾の記憶不意打ちで来る  

  丹

 返盃に返盃重ね荒法師     

 康子

  下界離れて森は涼しき   

  正博

 相伝の畑を山に還したり     

 丹

  硯の海に書初めの筆    

  康子

  起首 平成二十九年三月二十日

  満尾 平成二十九年四月十四日