【草門会】 胡蝶「只酒は飲むな」の巻

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胡蝶「只酒は飲むな」の巻

   捌 川野蓼艸 

只酒は飲むなと諭し濁酒     

川野 蓼艸

 車曳く影豆名月に      

 篠塚 雅世

群虫図よりちちろ虫逃げてきて  

朝倉 一湖

 米研ぐ手つきお袋似なり   

 山地春眠子

風呂は無し敷金も無し四畳半      

雅世

 表札の文字唐様で書く      

 春眠子

丹頂のイムジン河を渡る朝       

雅世

 マスクをかけて通ふフィットネス  

 一湖

人間に修羅ありショパンなど弾くか  

春眠子

 薬は不要恋の病に         

 雅世

揺れながら石楠花卓に置かれたり    

一湖

 神社奉納百の風鈴         

 一湖

今宵より余生といふか米寿過ぎ     

一湖

 ぴしぴしと象操つて鞭       

 雅世

円安で株安で又国葬も        

春眠子

 縄跳の子ら帰る時間に       

 雅世

月光の雪見障子と珈琲と        

一湖

 寒念仏の鬼の背負ふ傘       

 雅世

助六のやうな男が好みなの      

春眠子

 煮えきらないの苛つくばかり    

 一湖

魚干す海岸線も旅の果         

雅世

 山焼の火が夢の中まで       

 雅世

蝶ネクタイ管弦楽曲花吹雪    

村松 定史

 ピアニッシモで春の夜を閉づ    

 蓼艸

  令和四年九月十七日 首尾
  於 東京文化会館