【草門会】 二十韻「転瞬の無重力」の巻    

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二十韻「転瞬の無重力」の巻    

   捌 西川 菜帆

   ぶらんこを漕ぐ転瞬の無重力

   山地春眠子

    柳絮舞いゆく池の対岸 

    西川 菜帆

   砂時計の砂は鶸色春尽きて 

   岡部 瑞枝

    炊飯ジャーを床に直置き   

    今朝

ウ  フクシマのデブリ鬱々月凍る  

   春眠子

    息止めて聴く神の旅立ち   

    瑞枝

   約束を守らぬと蹴飛ばしますわ 

   春眠子

    あなたの好物私のアレルギー 

    瑞枝

   抽斗の第二釦は色保ち      

   今朝

    日照雨にわかに過るビル街 

    春眠子

ナオ 蟷螂の子の振りたてる柔き鎌   

   今朝

    白絣着て呷るウオッカ    

    今朝

   和算家は点竄術を競いあい   

   春眠子

    絵馬奉納の古刹賑う     

    菜帆

   月やさし主逝きたる人形に    

   瑞枝

    檀の実もて御髪かざらん   

    菜帆

ナウ 火の恋し近道ありと山の裾    

   瑞枝

    直線一気の追込みを買う  

    春眠子

   肉眼に捕える「きぼう」飛花の中 

   今朝

    細螺まどろむ遠浅の浜    

    菜帆

注(ナオ3)点竄術…和算の一つで筆算式の代数術。 

平成三十一年三月十六日 首尾

於 北とぴあ