【桃雅会】 歌仙「吊橋に」の巻
歌仙「吊橋に」の巻
捌 八雲 鏡湖
吊橋に響く川音秋澄めり
八雲 鏡湖
粧ふ山に淡き昼月
杉山 壽子
芸術祭鳥の写真を応募して
島田 裕子
おやつ作りは孫と一緒に
古賀 幹子
貝殻のモビール揺らす南風
中森美保子
のうぜんかづら鮮やかに垂れ
寺田 重雄
園丁の手入れよき庭巡りゐて
中西 静子
名前呼ぶ声夢の中まで
高橋すなを
コマーシャルみたいに「好きだ」繰り返す
宮川 尚子
鏡見つめて動かない猫
波多野茂子
ひとり酒五臓六腑にしみわたる
長谷川芳子
停まつてくれぬ空のタクシー
裕
凍て月のかかる駅裏静寂濃く
幹
鬼の面する父へ豆打つ
湖
本棚に好みの漫画詰め込んで
壽
将棋クラブは学校の前
保
仙人の住処のごとく花の宿
雄
黄砂降るらしまなこしよぼしよぼ
静
春コートマンハッタンを闊歩する
を
長く尾をひく鎮魂の鐘
尚
浮世絵の貼り交ぜ屛風料亭に
茂
杖にすがりつ家事こなす刀自
芳
形代に無病を願ひ息掛けて
湖
汗を飛ばしてドライバー振る
壽
まつすぐな気性の君に胸焦がす
裕
愛の証は子だくさんです
幹
お洗濯満艦飾の物干し場
保
供引き連れて桃太郎行く
雄
狂言師良夜のもとで稽古積む
静
刈田道にも並ぶ三脚
を
つれづれにかかし相手に禅問答
尚
へのへのもへじ書けば笑顔に
茂
無益なることも楽しむ長寿国
芳
薄く伸びゆく春雲の足
壽
花吹雪心に大き羽生えて
裕
点となるまで高く凧揚ぐ
執筆
令和五年一月二十五日 首
六月二十五日 尾