【草門会】 二十韻「全細胞賦活」の巻

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二十韻「全細胞賦活」の巻

   捌 小池舞

竜天に登る全細胞賦活       

山地春眠子

 物語り終へ雛納する      

 村松 定史

鶯の休止符置いてケキョ足して   

川野 蓼艸

 リュックの赤を追ひかける駅  

 篠塚 雅世

市場裏瓜食む人に三日の月     

浅岡 照夫

 祇園祭にピンヒール履き    

 岡部 瑞枝

保安帽とれば童顔ひとめ惚れ    

朝倉 一湖

 若き蹉跌も甘い憶ひ出     

 小池  舞

二杯目のコーヒー苦き朝の卓       

照夫

 ウクライナ戦いまや膠着      

 春眠子

鞭を当て吹雪の犬を走らせる       

蓼艸

 朽葉ふはりと落し穴です       

 定史

通販にはまり家中ダンボール       

一湖

 なだらかに山さはやかに海      

 雅世

満月光だけをまとひて逢ひに行く     

定史

 深井の面彫り上げる秋        

 蓼艸

仰向かせ濁り酒をば入れてやる      

蓼艸

 クルーズ船の向かふ僧院       

 雅世

魚鳥木申す申さぬ花の雲         

瑞枝

 不思議の国に蛙飛び込み      

 春眠子

  令和四年三月十九日 首尾
  於 東京文化会館