【猫蓑会】歌仙「一文字ぐるぐる」の巻
歌仙「一文字ぐるぐる」
鈴木 千惠子 捌
一文字のぐるぐるぐると師を偲ぶ
鈴木千惠子
二合半を酌む霜月の宵
橘 文子
象牙彫根付の細工稠密に
林 鐵男
高等遊民てふ者の在り
青木 泉子
秋深き新空港に人捜す
内田 遊民
水面に映る飛鏡砕けし
千
ウ 蚯蚓鳴く書斎に籠る作曲家
文
訪なふ声の誰やらに似る
男
父の名を言はず秘密の子を育て
泉
梨園騒動又も発覚
民
新興の教祖に縋り舞ひ狂ひ
千
馬面剝の味噌漬は美味
文
除草機の泥を落として月の納屋
男
ナビゲーターの設定を変へ
泉
牢名主牢後の老後やや不安
民
平賀源内火浣布を織る
千
アイロンで伸ばす旧札花吹雪
文
ど忘れ辞典縁の暖か
男
ナオ 白子干やはりお頭付いてます
泉
緑内障の夫いたはる
民
ピンバッヂ登山リュックに中高年
千
冒険王を読むハンモック
文
爆破音地雷撤去の遅々として
男
轍の跡に溜まる雨水
泉
冬の虹渡り三世を思ひをり
民
ヨン様でなくチュンサンが好き
千
筋肉に見とれシャッター切り忘れ
文
折り返し点応援の旗
男
決断のことば投げ上ぐ満月に
泉
べつたら市の店を選んで
民
ナウ 黄鶺鴒小さきせせらぎノックする
千
古行李より現るる舌出し
文
真贋に確信もてぬ鑑定士
男
自治体主催IT教室
泉
花の宴小角を模して高足駄
民
うららの丘にロンド奏でる
泉
※熊本の葱ぬた
平成十六年十二月五日 首尾
於 江東区芭蕉記念館