【野田連句会】 演歌「冬紅葉」の巻
演歌「冬紅葉」の巻
この橋を渡れば異国冬紅葉
松澤龍一
四輪馬車へ凩の道
諸藤留美子
アディオスとだけのラインを受け取りて〈別れ〉
鈴木幸子
パエリアを買う夜のデパ地下
龍
宮殿にマンドリン聴く今日の月
留
納戸の奥で蟋蟀の鳴く
幸
収穫を新酒を持ち寄り祝う膳
龍
儀式のように定位置の椅子
留
向いあい話始める見合い席
幸
涙で燃やす元彼の文〈涙〉
龍
朝虹の裏磐梯を樹間越し
留
カーテン開けて夏の月見る
幸
公園の立ちんぼ止めて仏門に
龍
ペン一本に膝の寂しさ
留
アメリカの本屋で買ったカリグラフィー
幸
花が散るちる夢のまにまに〈夢〉
龍
春の雪ガードレールの継ぎ目にも
留
長いスカートふわり春風
幸
令和五年十月三日 首
令和五年十月十一日 尾
於 文音
(注)六句三連、長句九句、短句九句の十八句から成る。一花二月。
一番では「別れ」を二番では「涙」を三番では「夢」を詠む。
春夏秋冬、月、花は適当に全巻に鏤める。