【猫蓑会】短歌行「クリムトの女」の巻
短歌行「クリムトの女」の巻
鈴木千惠子 捌
クリムトの女傾ぎぬ夏の霧
鈴木千惠子
深呼吸して開く睡蓮
奥野美友紀
料理長仕上げの塩を大鍋に
四方山話尽きぬ人の輪
ウ つちのこが出ると評判萩の道
月夜のかかし恋をするなり
新涼のプリーツぴしり高校生
前髪少し切りすぎたかも
おほらかな稽古始を世阿弥説き
いびきをかいて眠る老猫
大漁旗待つ内海は花の頃
先譲り合ふお遍路の宿
ナオ ヨーグルトスカッチ舐める昭和の日
紀
CMソング耳を離れず
千
駅伝の最終走者逃げ切りて
不実な男軽い約束
アンケート既婚の欄にチェック入れ
好きな酒なら断固焼酎
月細く携帯電話つながらず
乱れがちなる雁の列
ナウ 赤とんぼ人差し指をくるくると
石碑の除幕議員揃ひて
花の降る文学館のカフェテラス
自転車を漕ぐうららかな午後
執筆
令和元年八月 七日 起首
令和元年九月二十二日 満尾
於 文音