【海市の会】糸蜻蛉「傀儡」の巻

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糸蜻蛉「傀儡」の巻 

   羅に透く狂言の傀儡かな      

   鈴木漠

    月の匂ひと称す香水     

    梅村光明

   汗滲むほどよき散歩薦められ   

   永田圭介

ウ   不夜城とやらの迷路さまよふ 

    三木英治

   ギター弾き渋谷新宿池袋     

   東條士郎

    最終列車銀河行きとか    

    赤坂恒子

ナカ 精霊流しに爆竹を買ひ込み      

   光明

    映画をまねさはやかなベーゼ    

    漠

   戦を捨てつんつん月夜酒囃子     

   英治

    喧嘩上手技は瀬戸際に      

    圭介

   スキージャンプの着地でころげちゃった

   恒子

    狐が笑ってゐる洞穴       

    士郎

ナオ 双六の絵柄はすべて星座なり      

   漠

    鏡開きにふるふトンカチ     

    光明

   腹立たし憎し妬まし取りまとめ    

   圭介

ナウ  雲雀は歌で雲に署名を      

    英治

   花吹雪園児すぐには集まらず     

   士郎

    心惹かれる茶草餅        

    恒子  

 二〇二〇年一月 満尾(ファクシミリ)

 海市の会 × ゲスト

糸蜻蛉。林空花創案「胡蝶」のヴァリエーション。小型の蜻蛉の形態(4枚の羽根と胴体)に擬す。ナカ6句は自由律ながら、長句は17音、短句は14音に調整。