【草門会】二十韻「文殻を」の巻
二十韻「文殻を」
捌・進藤土竜
文殻を焚き付けにする遅日かな
進藤土竜
そつと踏んでも響く薄氷
村松定史
新入生給食袋を引きずりて
朝倉一湖
ドアの内側貼られたるメモ
金子朱蝶
ウ 月光に影くつきりと衣更
大橋一火
夏に出遭つてB面の曲
西川菜帆
横顔によぎる殺意を感じ取る
定史
この世は全て会者定離なり
一湖
富士山を一周せよとブーメラン
一火
鶴亀算を壁に落書き
定史
ナオ 初雪を両掌に受けて味見する
菜帆
軽く咳してオレオレと言ふ
一湖
どの椅子もふたりでひとつチュイルリー
定史
歌女鳴くを聴きひしと抱きしむ
一火
復興の蔵出し酒を月に酌む
菜帆
見やう見まねで作るからすみ
朱蝶
ナウ 沖雲の変容無限国境
菜帆
回転扉過去を押し出す
一湖
花おほふ寺の甍の弓なりに
定史
春星伴に旅立てる朝
朱蝶
(平成三十一年二月十六日首尾 於・北とぴあ)