【海市の会】箙「一姫二太郎」の巻

クリックで拡大▲

箙「一姫二太郎」

   衆議判

一姫二太郎も被(き)る袖無し羽織(ちゃんちゃんこ) 

鈴木漠

 暖炉を囲み始無尻取り       

 赤坂恒子

幸せをいのちの果に味はひて      

永田圭介

 案山子相手に語る来(こ)し方   

 三木英治

月今宵レコードで聴くモダン・ジャズ  

梅村光明

 居留地跡の館冷(すさ)まじ    

 東條士郎

若き日の熱き想ひは今もなほ        

恒子

 お下げのきみをひたすらに恋ひ      

 漠

ブルーストの名著彩る水中花        

英治

 こころ潤す神の滝壺          

 圭介

白妙の流れは布のごと垂れて         

 天女めかして踊るダンサー       

 光明

ナオ

我がものと思ふ自由は弥陀の掌(て)に   

士郎

 草の実飛びて繋ぐ次世代        

 恒子

SFに月のアパート群が増え        

圭介

 新酒に酔うて銀河あたりへ       

 英治

駅前の開店ラッシュパチンコ屋       

光明

 議員の贈るカトレアの鉢        

 士郎

ナウ

温室で育ち寒風など知らぬ         

恒子

 大黒柱黒光りして            

 漠

すこやかに孫笑ふ門(かど)福招く     

英治

 別れ再会なべてかぎろひ        

 圭介

艱難のかずかず花を待つばかり       

士郎

 目借る蛙に馴染む此の頃        

 光明

  二〇二一年四月満尾(ファクシミリ)

  海市の会×ゲスト