【奈良県連句協会】 短歌行「渓流の鯉のぼり」の巻

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短歌行「渓流の鯉のぼり」の巻

   捌 増田 敏

渓流に架かる百匹鯉のぼり     

増田  敏

 若葉に染まる園児歌声     

 角谷美恵子

仄甘いクッキーを焼く匂いして   

三原 寿典

 ヘヤースタイル変えて壮快   

 金城比呂子

望月のふわりと揺れる赤風車    

林  典子

 逢瀬重ねる藁塚の裏          

 敏

菊枕嫁荷に入れて嫁ごうか         

 尾をふる子犬そっと抱きしめ  

 脇田 惠子

生活のリズム狂わすテレワーク       

 酒の注文拒む居酒屋          

 寿

ぶらり行く橋の袂に花明かり        

 宇智の社に詣る夢虫          

 典

春惜しむ鬼の太鼓に雨を呼ぶ        

 躾と称し本音あらわに         

 美

アフガンに幼き妻の数多いて        

寿

 過ぎた火遊び消えぬ傷痕        

 比

漱石の「あせっていけない」座右とし    

 師走の市に並ぶ骨董          

 敏

終りなき株価低迷凍てる月         

 護摩焚き祈願覚悟新たに        

 惠

波静か水平線に見える船          

 旅先からの友の絵手紙         

 寿

花の幕山肌広く張りつめて         

 清々しきは朝の囀り          

 典

  令和三年五月一日 首
  令和三年五月二十七日 尾
  於 文音