【おたくさの会】糸蜻蛉「有耶無耶」の巻

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糸蜻蛉「有耶無耶」

 梅村光明捌き

   有耶無耶になりし約束春二番   

   東條士郎

    匂ひ寄こせよ古里の梅     

    鈴木漠

   カラオケに行く日鶯よく鳴きて  

   在間洋子

ウ   かくれんぼうの鬼が泣きだし

    三神あすか

   のつぽりと昇りはじめん夏の月  

   安田幸子

    水羊羹を角に切り分け    

    土井幸夫

ナカ 湯浴みの後縁側で風鈴を聞く   

   福永祥子

    ガラス戸に彼の名書いてみる

    長林ちゑ子

   熱(ほて)る指先をそつと抱く胸元 

   辻久々

    紅葉の渓谷歩いたつけ    

    中澤あき

   別れ道照らす玉輪の計らひ    

   赤坂恒子

    秋服に憎らしい質札     

    東條士郎

ナオ ほかならぬ夢の世かしとワキの僧 

   藤田郁子

    やや人肌の燗酒を酌む      

    光明

   神の留守野盗らほくそ笑むらしき    

   漠

ナウ  除菌除菌と口を揃へて      

    洋子

   縫物は尺貫法が今もなほ      

   あすか

    卒寿の母と競う双六       

    幸子

  

  

糸蜻蛉形式。
林空花創案「胡蝶」のヴァリエーション。4枚の羽と胴体からなる小型の蜻蛉の形態に擬す。