【宮城県連句協会】 非懐紙「ヴィーナスの臍」の巻

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非懐紙「ヴィーナスの臍」の巻

縄文のヴィーナスの臍夏兆す    

鵜飼桜千子

 鏡の内に雲と瑠璃鳥       

 狩野康子

持て余す時間を猫とじゃれ合って  

靜 寿美子

 脳内知識棚卸しせむ        

 桜千子

鍵のない金庫みんなで作りましょ     

康子

 ドローンで追ふ謎の集団      

 寿美子

満月は凪の海へと融けてゆき      

桜千子

 むかしむかしは菊と友達       

 康子

辛口の地酒味はう個の時間       

寿美子

 ダブルベッドで紅楼夢揺れ     

 桜千子

英雄はねんねころりと美童好き      

康子

 荷馬車駆けゆく凩の中       

 寿美子

蠟八に人体模型傾かむ         

桜千子

 葬送曲はジャズと演歌で       

 康子

じゃんけんで掃除当番シェアハウス   

寿美子

 葉蘭ゆつたり寸胴に活け      

 桜千子

北斎の龍を探しに春の夕         

康子

 地球の軸に流氷の声        

 寿美子

  令和三年五月十日 首

  令和三年五月三十日 尾
  於 文音