【猫蓑会】 俳諧之連歌二十韻
令和四年春季亀戸天神社奉納
俳諧之連歌二十韻
藤房や渡る此世の橋三つ
鈴木了斎
東風の撫でゆく筆塚の文字
鈴木千惠子
小学生校歌斉唱のどらかに
奥野美友紀
地球儀回す右へ左へ
根津忠史
塩田に汐引き入れる月の頃
林 転石
磯枕して初恋の夜
西田荷夕
たをやかにまたひんやりと君の腕
本屋良子
弥勒菩薩の穏やかに笑む
由井 健
街道の往時をしのぶ道しるべ
岩崎あき子
あたりの草を摘んでコサージュ
島村暁巳
キャンバスの夏富士長く裾を引き
武井雅子
蝉時雨して暮れる夕空
名古屋富子
後れ毛のほつるるままにまかせたる
高塚 霞
次の女を乗せたナナハン
平林香織
なげやりに置いた名詞に「雪娘」
佐藤徹心
燗酒の湯気窓の月へと
山中たけを
高層ビル見上げて路地を抜ける猫
江津ひろみ
出勤いつも落語聞きつつ
近藤純子
くつろげた衿も男の花衣
緑華亭孝子
囀の降る野辺のをちこち
執筆
首尾 令和四年四月二十一日
於 江東区芭蕉記念館