【猫蓑会】 歌仙「秋高し」の巻

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歌仙「秋高し」の巻

   高塚 霞 捌

   鉄の新大橋や秋高し    

   高塚  霞

    野分過ぎたる空に昼月 

    佐藤 徹心

   到来の玉蜀黍をゆで上げて 

   根津 忠史

    よく喋る児に寡黙なる犬

    坂本 孝子

   穏やかに第二楽章始まりぬ 

   鈴木千惠子

    スケート靴で描く円形     

    千 

 ウ 白銀(はくぎん)の稜線に神在すらん

   孝

    一途の恋を徹す姫宮      

    仝

   あなただけ見つめてこの身蛇と化し 

   千

    顔に出さねど酒はしたたか   

    史

   三連単とつた帰りはタクシーで   

   心

    生国問へば北の浜辺と     

    孝

   白鳥の群にぎやかに月の下     

   史

    プリンシパルになる夢を抱き  

    孝

   遅くまでおやつ持参の塾通ひ    

   心

    持ち主知れぬ錆びた自転車   

    千

   上水に情死もありし花の影     

   孝

    ダブルベッドに鐘朧なり    

    史

ナオ 口髭に触れてかたびら雪の消え   

   心

    三代続く城の門番       

    史

   香しき菓子を焼くのを趣味として  

   孝

    南回りのけふのフライト    

    仝

   アメリカの株の上下にそはそはし  

   心

    桶屋儲かる仕組複雑      

    千

   見習ひの鵜飼あやしき綱さばき   

   心

    鼓打ち合ふ気合厳しく     

    孝

   この先は矢来巡らす関所跡     

   史

    刑事の勘が狙ふグラマー    

    孝

   女掏摸月夜に曝す脚線美      

   千

    金の鯱跳ねて爽やか      

    孝

ナウ 法師蝉やうやく声の調ひて     

   史

    方丈様は筆を湿らす      

    心

   冷やかしたあげく立ち去る道具市  

   史 

    また日本人イグ・ノーベル賞  

    心

   飛花落花ディズニーランド列長き  

   霞

    風船を手に家路辿れり     

    千

  令和三年十月三日 首尾

  江東区芭蕉記念館