【草門会】胡蝶「ありのまま春」の巻

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胡蝶「ありのまま春」の巻

   捌・朝倉 一湖

   寒紅梅雀群れゐる一樹あり     

   朝倉 一湖

    懐手して光愛づ頃       

    進藤 土竜

   対峙する碁盤は深き世界にて    

   岡部 瑞枝

    大波小波砂浜を食む      

    大橋 一火

   月の面(おも)浮びて消ゆる淡き文字

   浅岡 照夫

    眠くなるまで虫合はせする   

    村松 定史

ナカ 零余子飯かまどの薪の火の加減      

   定史

    ちよつとしぐさがフィアンセに似て  

    一火

   あちこちに鉤を仕掛けて艶話       

   土竜

    猫の叫びで夢から覚める       

    瑞枝

   縄文の土偶がかけるサングラス      

   一湖

    菖蒲酒にてへべれけになり      

    一火

   旅僧が一筆で描く達磨像         

   定史

    「日はまた昇る」闇の濃くても    

    土竜

   救急車名前も歳も真ッ白に        

   瑞枝

    百を越してもまだプロポーズ     

    一火

   好物は雄の柳葉魚と細き月        

   瑞枝

    雪の女王未だ去りやらず       

    照夫

ウラ 犬の耳(ドッグイア)とは折つたページの三角よ

   土竜

    竹刀の弦を締めて膝行        

    定史

   平成といふこの御代の裏表        

   土竜

    矢印に沿ひ待つ納税期        

    一火

   渦巻ける花は谷へと舞ひ散れり      

   定史

    ありのまま生きありのまま春     

    瑞枝

   

  (平成三十一年一月十九日首尾 於・北とぴあ)

 【ウラ1】犬の耳(ドッグイア) … 本や雑誌のページのすみを折って、しおり代わりにすること。角折れとも。