【宮城県連句協会】 非懐紙「方向を」の巻

非懐紙「方向を」の巻

方向を狂わす卯波へ首伸ばす    

狩野康子

 時の流れをはかる代牛    

 永渕  丹

扁額の文字幾たびも咀嚼して      

康子

 思わぬ土地で教え子に会い      

 丹

じれったい見つけてほしいかくれんぼ  

康子

 風の音にも走り出てみる       

 丹

魂の触れ合っている秋の夕       

康子

 夜這星から君もどうかと       

 丹

眼光にひと癖のあり白寿翁       

康子

 盆栽の瘤松の意地なり        

 丹

競声に荷い棒やら鳥のふん        

 赤チン塗ってふぐと汁など     

 康子

年忘れ〆の一杯とはゆかず        

 付句いかがと雪見船から      

 康子

早暁に赤穂浪士の陣太鼓         

 並ぶ墓石に絶えぬ線香       

 康子

芝桜末の妹踏まぬよに          

 千の折鶴飛ばし野遊び   

  令和七年二月十三日 首
  令和七年三月七日 尾
  於 ファックス音