【あしべ連句会】短歌行「苗を植う」の巻

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短歌行「苗を植う」の巻 

もりともこ 捌

田に映るおのが姿へ苗を植う      

もりともこ

 雲の峰湧く空の群青        

 谷澤  節

おほぶりの湯呑みを父とお揃ひに    

松本奈里子

 双生児のやうと噂もつぱら     

 竹下 昭子

ほうやれほ安寿厨子王月の浜      

平良 孝子

 よさこい踊り叫び明かして     

 井内 温雄

底知れずぐびぐびと干す濁り酒     

竹山みどり

 人身御供を祀る城跡          

 ともこ

盗賊の片腕を抱く狂ほしさ           

 イニシャルの文字揺るる泡沫      

 奈里子

ビル街に棲むライオンに花ふぶき       

昭子

 のどらかな午後試作みなぎる       

 孝子

晩成のピアニストゐて春深し         

温雄

 公園に佇小便小僧           

 みどり

一斉に発ちてやまたも降りる鳩       

ともこ

 手袋を脱ぎ先づは御堂へ          

 節

森閑と月を閉ぢ込め滝凍る         

奈里子

 心あらずの彼の素振りに         

 昭子

日高川渡る足取り乱しつ           

孝子

 検診前のきつい絶食           

 温雄

隠したき情報だけが漏れてゐる       

みどり

 ゴール決めれば五輪すぐそこ      

 ともこ

花の宿おかみ笑顔のおもてなし         

 京ことばを運ぶ軟東風         

 奈里子

 平成三十年六月二七日起首

 平成三十年七月二十日満尾

 於 難波生涯学習センター&文音