半歌仙「こそりこっそり」の巻

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詩人の向坂くじらさんが「連句やってみたいです」と言ってくださった。食い気味に「やりましょう!」と返した。Twitter上のことである。

くじらさんに初めてお目にかかったのは、美術家の宮田篤さんの展覧会「びぶんブックス」(2019/TOKAS本郷)でのことだった。くじらさんは詩人として、私は連句人としてゲスト参加させていただいた。伸びやかな昼下がりに、宮田さん考案の詩形「微分帖」を、くじらさんは軽やかに唄っていた。連句に対してもその姿勢は変わらなかった。句をご覧いただければわかるだろう。

「こそりこっそり」は、くじらさんのご友人のウララさん、ゆりさんが参加してくださり、夜のzoomで静かに巻いた。いや、静かなんて嘘で、4人で「これはどう?」「ここ、どう変えたらハマるかな?」「あー!打越―!」とか、わちゃわちゃ言いながら巻いたんだった。でも、巻き上がったものを読むと静かだよね。初めての連句を遊んでくれてありがとう。

半歌仙「こそりこっそり」の巻 

   捌 高松霞

短日の暗さに乗じ化粧せず     

ウララ

 コンビニにもういない冬の蛾  

 くじら

五十過ぎ机のあちこち愛でるもの   

ゆり

 ノートぼんやり眺めて風は   

 ウララ

月高くUFOの影ひとつない     

くじら

 鏡の上で停まる水鳥      

 くじら

うっとりとどこからかおる仏手柑   

ゆり

 記憶の奥で出会うあなたに   

 ウララ

思い出さなくてよいことまで濡れて 

くじら

 ふたり乗り換えないターミナル 

 くじら

じっと見る大きな声で騒ぐ子ら    

ゆり

 神は無言でいじるスマホを   

 ウララ

うち水のなまあたたかさ肌につく   

ゆり

 母の日の月まるく孕んで    

 くじら

早炊きにするとおいしい今日の夢   

ゆり

 バクが百分待ちの行列     

 くじら

対岸の花はいまだに透けていて     

 薄氷を踏むこそりこっそり   

 ウララ

  首尾‥2021年12月14日

  於‥zoom