【あしべ連句会】 歌仙「大鳥居」の巻

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歌仙「大鳥居」の巻

   捌 山本 天球

   冬晴れや大斎原(おおゆのはら)の大鳥居

   山本 天球

    寒九の水の清らなる音    

    松本奈里子

   いくつものサイフォン滾る喫茶にて

   もりともこ

    ユーチューバーを誇る婆さん 

    蒲生 智子

   スリッパにビーズの刺繍月耿々  

   角谷美恵子

    庭の片隅白露が見え     

    竹山みどり 

 ウ 故郷より届きし柿は別の味    

   羽根 侑子

    同窓会で初恋の人      

    三原 寿典

   胸キュンで言葉交わさず眼で話す 

   平良 孝子

    白内障の手術決心      

    谷澤  節

   アルプスの稜線果てしなく続き  

   増田  敏

    消息絶ちしナオミ・ウエムラ 

    井内 温雄

   クレヨンで描いたような虹の橋  

   木戸 ミサ

    正覚坊が月の夜に来し       

    天球

   問い質す誰に怨みの玉手箱      

   奈里子

    落ちて泣きつく予備校の門    

    ともこ

   クルクルと砂場の池に花筏        

   節

    菓子の吹き寄せ遠足の友      

    智子

ナオ 霾晦引っ越し便のトラックが      

   寿典

    転勤報すハガキ舞い込む      

    侑子

   炊飯器一升炊きを愛用し       

   美恵子

    郷土の力士みごと優勝        

    敏

   生命の息吹感ずる寒牡丹        

   孝子

    冬の滝行背中湯気立つ       

    智子

   定年後書棚の源氏取り出しぬ      

   温雄

    ダブル不倫とバッシング受け    

    ミサ

   あたしには妻の毒舌子守唄       

   天球

    魚板の音が響く禅寺        

    寿典

   月に向け夜間飛行を試みる      

   奈里子

    残る燕の多くいる町       

    ともこ

ナウ いかがかな時代祭の異邦人        

   敏

    モダンアートか湯屋のペンキ絵    

    節

   子ども等の狼藉に爺一喝す       

   孝子 

    長閑に暮れる今日に乾杯     

    美恵子

   花の雲棚引く里に迷い込み       

   智子

    腰にくくりし春のセーター     

    温雄

  令和元年十二月二十五日 起首

  令和二年三月二十日 満尾